愛知にアジアのスター選手たちが集まる!
日本をはじめとする東アジア諸国から、サウジアラビアなどアラビア語圏の西アジアまで、40以上の国と地域が参加する競技大会で、4年に1度の開催であることから「アジアのオリンピック」とも呼ばれる「アジア競技大会」。2026年9月には、第20回大会が日本の愛知県で開催されることが決まっています。

アジア競技大会ではオリンピック以上に多様な競技が種目として採用されており、カバディ、セパタクローと言ったアジア圏で親しまれているスポーツに加えて、囲碁やビリヤードと言った競技も実施される点が大きな特徴です。
「eスポーツ」は、2018年のインドネシア大会で試験的に、そして2022年の中国・杭州大会から正式種目に採用されており、今回の2026年愛知大会でも引き続き実施されることに。2026年、国内eスポーツシーンにおける一大イベントになるでしょう。
前回の2022年大会では、eスポーツが正式なメダル競技として採用され、7タイトルのうち、日本からは『League of Legend』『PUBG mobile』『STREET FIGHTER V』の3タイトルに選手が派遣されました。
愛知大会ではさらに増えて11種目となっており、これまで国民体育大会でのeスポーツ種目として続いている国産タイトル『eFooball』や『ぷよぷよeスポーツ』も採用されています。かつて東京五輪で野球・ソフトボールが競技種目として復活したように、日本開催ならではラインナップが楽しめる大会になるでしょう。
中でも注目は『Street Fighter 6』と『TEKKEN 8』、そして『THE KING OF FIGHTERS XV』の格闘ゲーム3タイトル合同でのチーム戦種目「Competitive Martial Arts(対戦格闘)」です。詳細なルールはまだ発表されていませんが、それぞれの競技シーンでは見られない、IPホルダーの垣根を超えた種目として大きな期待を集めています。
| 2022年杭州大会 | 2026年愛知大会 |
| · Arena of Valor
. Dota 2
|
· Naraka: Bladepoint
· Pokémon UNITE . Honor of Kings |
また、アジア競技大会は国別の対抗戦となるため、その他のチーム競技の種目でも既存のプロチームとは異なる「代表チーム」が組閣されるのも大きな特徴です。普段のプロシーンでしのぎを削るエースプレイヤーの共演が見られる可能性もあり、その対戦の場が日本となると一層貴重な機会となると言えます。
eスポーツが競技に正式採用されてからまだ2大会目ではあるものの、アジア競技大会は1951年から続く歴史と権威ある大会として既に存在感は十分。愛知大会で採用されるタイトルは2026年の公式大会の日程をアジア競技大会と重複しないよう調整するなど、選手が参加しやすいよう配慮した年間スケジュールを組んでいるケースも見られ、トップ選手による真剣勝負が見られるのではないでしょうか。
中でもこの大会に注力してくると考えられるのが韓国のプレイヤーです。なぜなら韓国では成人男性に兵役の義務があり、選手としてパフォーマンスを発揮できる時期に競技から離れなければならなりませんが、オリンピックでの金、銀、銅メダル、そしてアジア大会での金メダルを獲得した場合は特例として兵役が免除されるという制度が存在するためです。
過去にはサッカー選手として活躍するソン・フンミン選手らがこの大会での金メダルを獲得しており、前回大会では『League of Legends』部門で韓国代表が優勝したことで世界的に著名なeスポーツプレイヤーとして知られるFaker選手も兵役免除に。金メダルには名誉だけでない価値があるため、eスポーツ強豪国として知られる韓国から派遣される代表選手団にとっては人生を左右する大舞台と言えるでしょう。
そんな2026年9月の本番を前に、2026年3月21日(土)、22日(日)の2日間、Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)にてイベント「ASIA esports EXPO 2026」が開催されることも発表となっています。

こちらは2025年にも開催されたeスポーツイベントですが、2026年にはアジア競技大会に向け、一部タイトルの日本代表候補選手選考大会を実施予定に。選考大会を勝ち抜いた選手は日本代表候補選手として推薦され、最終的に日本代表選手団を編成する「公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)」承認されることで正式に決定されます。この会場は本戦でもeスポーツ競技の実施会場に決まっており、前哨戦として注目が集まります。
「アジア大会」と聞くと世界大会よりも少しトーンダウンして感じられるかも知れませんが、格闘ゲームを中心に強豪プレイヤーを数多く抱える日本に、数多くの『鉄拳』シリーズの猛者を抱えることでも知られるパキスタン勢。そしてMOBAを始めとするPCゲームで中心的存在となっている韓国や中国に、昨今eスポーツ業界の話題をさらい続けているサウジアラビアと、ことeスポーツ界においてはアジア圏だけで相当なバリューの大会となることでしょう。
日本でのアジア競技大会の開催は1994年の広島以来実に32年ぶりとなり、まさにeスポーツ文化が成熟を迎えようとしているこのタイミングでの開催は貴重で、日本人選手の活躍にも期待がかかります。
これまで国内eスポーツシーンおいて大きなイベントが開催されることは決して多かったとは言えない愛知県ですが、既に幅広い層へeスポーツの魅力を発信する活動も行われており、学生eスポーツも徐々に盛んになりつつあります。
愛知県知事や名古屋市長は日本eスポーツ連合(JeSU)の地方支部である愛知eスポーツ連合の名誉顧問を務めており、これを機に自治体のバックアップを受けて更なる取り組みへと発展していくことも考えられます。
2025年は大阪・関西万博がグローバルに盛り上がりを見せましたが、2026年はその勢いを受け継ぎ、愛知県が話題の中心となる可能性もあるのではないでしょうか。