ゲームトークから始まる就活!?
学生にとって、そして人生における一大イベント「就職活動」。情報が溢れる現代では、その内容や特徴、そして学生の取り組み方も変化してきています。
そんな就職活動において「ゲーム」を共通項に企業と学生が出会う「ゲーたま」というイベントが2025年4月、スタートしました。

本イベントを作り上げているのは、ゲーム/eスポーツイベント制作を多数手がけてきたGLOE株式会社。MCとのトーク形式や全学生と全企業が交流する方式などユニークで独特なイベントはどのようにして生まれたのか。GLOE株式会社より、イベントの仕掛け人である武藤一輝氏にその狙いや背景、掲げるビジョンなどを聞きました。
―本日はよろしくお願いいたします。最初に、武藤さんのご経歴を含めた自己紹介をお願いします。
武藤 1987年生まれで、新卒で他の会社に就職し、2018年、まだ社名が「ウェルプレイド※1」だった頃のGLOE株式会社に入社しました。来年の3月で丸8年になります。入社後はずっと大会やイベントを制作するプロデューサーやディレクターを担当していて、ここ1年ぐらいで新たに「ゲーたま」の事業に携わっています。名前が武藤一輝なのですが、ゲーマーネームとして「ずーサン」という名前でもやらせていただいています。
※ウェルプレイド社は2021年にライゼスト社と合併し「ウェルプレイド・ライゼスト」に。2024年2月に現在の「GLOE」に社名変更。
―「ゲーたま」は学生さんと企業を繋ぐ取り組みですが、この取り組みをスタートしたきっかけや、イベント・大会制作に携わっていた武藤さんが担当するようになった背景はどのようなものだったのでしょうか。
武藤 昨今はゲームが「eスポーツ」という競技・興行的な側面で盛り上がっており、非常に素晴らしい状況にあると思います。我々は「We are the GAMING LIFESTYLE Company.」というビジョンを掲げており、ライフスタイルやライフステージにまでゲームが浸透する世界を目指しています。
こうした中で、注目したのが就職活動(以下、就活)や採用など「学生から社会人になる」という、ライフステージに大きな変化が起こるシーンで、「ここにゲームで貢献できることはないだろうか」を考えました。時にゲームは「将来の役に立たない」という論調で語られることもありますが、それをひっくり返して、ゲームをずっと好きで生きたことが人生においてプラスに働くようなシーンを作りたいと思いました。
そこから採用や就活のシーンで、ゲームをどう活用すればいいのかを考え、GLOEという会社としても僕個人としても一番得意な領域で貢献していけたらいいなという思いから、「イベント制作屋さん」としてのノウハウを持ち込み、ゲームをやっていたからこそ会社に出会えた瞬間を作り出したいと思って生まれたのが「ゲーたま」です。
―「ゲーたま」はGLOEさんの中に新たに「COLORLeSS」というプラットフォームを立ち上げて取り組まれていますが、これはどういった理由からなのでしょうか。
武藤 GLOEが取り組む領域、あるいはお取引先の職能領域は「プロモーション」が大きな割合を占めており、eスポーツの世界はプロモーションを中心に大きく動いている側面が強いと思っています。
ただ、我々が取り組むプロジェクトは、「プロモーション」ではなく、「採用」の領域になりますので、ビジネスパートナーの方々も採用領域になります。新しい取り組みの「箱」があった方が、プロジェクトを動かしやすく、説明する際にも伝わりやすいのではないかという狙いと、さらに今後さまざまなサービスを展開できる可能性も含めて、ブランドを分けて展開しています。
座組としては採用や就職活動をサポートする「COLORLeSS」プロジェクトの中に、 イベントブランドとしての「ゲーたま」があるという立て付けですね。
―ありがとうございます。ここからは「ゲーたま」の内容についてお話を伺っていきたいと思いますが、まずはプロデュースをされている武藤さんの言葉で「ゲーたまとはどういったイベントなのか」を改めてご紹介いただけますか?
武藤 就活シーンの中でゲームを活用する手法を考案するにあたって、自分自身の就活に立ち返って考えてみると、就活は学生から社会人になるにあたって「突然違うゲームが始まる」ような、それまでは受験という勉強中心のゲームだったところから、突然「社会に出て活躍できる人材になってください」と言われている印象があったんです。
そんなタイミングが急にやってきて、まずはどの業界に進むのか選択する人が大半かと思いますが、そもそも世の中にどのような業界や仕事、企業があるのかを知る機会は学生時代に無いですよね。それなのに「業界を絞れと言われても……」というのが、学生さんの本音だと思ったんです。就活のための情報サイトに登録しても、情報が網羅され過ぎていて、逆に困ってしまいます。
―特に大学生の就活はそのイメージがありますね。
武藤 「人は選択肢がありすぎると逆に選べなくなる」現象は「ジャム理論」と呼ばれています。30種類、40種類のジャムを扱うお店と、10種類程度のお店とで比較すると、一見、種類が多いお店の方が良さそうに感じられますが、そこまで多くの選択肢を提示されると選べなくなってしまうので、少ない方が決断できるんですね。
これは就活にも同じことが言えると思います。情報が多すぎると、どこから手をつけたらいいかの分からなくなってしまう。それを突破するために「選択肢を絞ること」が必要で、絞る上で「自分が好きなものや興味関心が持てるものなら選びやすい」のではないかと思い、そして、そこにゲームというピースがはまれば、より良いものができるんじゃないかと思いました。
―ゲーム業界に就活をするのではなく、ゲームをきっかけに業界や会社を選ぶというアプローチなんですね。
武藤 「ゲーム好き」な学生さんが、必ずしもゲームを仕事にしたいとは限りません。社会人になっても趣味としてゲームを続けていきたいと思っているケースもたくさんあるはず。
それなら、ゲームに対する理解が深く、ゲーマーフレンドリーな、我々の言葉で言うところの「ゲーミングライフスタイルが持続できる職場」に就職した方が幸せではないかと思い、そんな会社さんと出会う機会をイベントとして作りましょう、というのがイベントのコンセプトであり、取り組んでいる内容ですね。

―「ゲーマー就活生のたまり場」を略して「ゲーたま」というネーミングやSNSでの紹介を見ていても、就活で定番の企業による合同説明会よりはカジュアルと言いますか、その手前のステップにあるような印象を受けました。
武藤 これは、取り組み内容を説明するのがかなり難しくて、他に上手い説明がないので我々も「合同企業説明会」というフレーズを使うこともあります。とてもオリジナリティが高いイベントなので、今世の中にある言葉に当てはまらないというのが正直なところですね(笑)。
僕らは就活生の皆さんに「世の中にはこんな仕事もあったのか」「この仕事って言葉では知っていたけど、 実際にはこういうことをするんだ」「全く知らない会社だったけど、話を聞いてみたらめちゃくちゃ良い!」という発見を提供したい思いが強くあります。行きたい業界や企業がまだ決まっていない、可能性をたくさん秘めた学生さんたちに、イベントでは新しい発見を持ち帰ってほしいですね。
―ジャム理論のお話もありましたが、大規模な説明会はなかなかどこで話を聞いて良いのかも難しく、自分に合う企業・業界を見つけられないまま終わってしまう経験は珍しくないと思われます。
武藤 そうですよね。これは自分の話になりますが、僕がこの会社に入った2018年当時はゲームを全然やらない人だったんです。ただ、地元のJリーグチームのコミュニティ活動をプライベートでやっていて、サポーター同士の輪を広げようと100人ぐらい集めたオフ会やパブリックビューイングイベントを一人でずっとやっていました。
僕が好きでやっていたその活動を、当時のウェルプレイド社の人事担当者が見つけて「面白いコミュニティ活動してますね」とお声がけいただいたのがきっかけなんですが、当時はeスポーツの会社と言われてもまったくピンときませんでした。
ただ、その担当者の方のメール文面があまりにも面白くて、是非お会いしたいと思い、面接に伺って、会話をしてみたら「この会社、超面白いじゃん」となり、企業の思想にも深く共感しました。
すぐに担当者の方と意気投合して、その日のうちに「このまま最終面接をやります」と言われ、社長との最終面接、そしてその場で内定をいただいて入社する、という経緯だったんですよ。
―それはかなり個性的なエピソードですね!
武藤 そうですね(笑)。ただ、この話で重要なのは、ゲームをやっていない、更にeスポーツも全く知らなかった僕が普通なら絶対に出会えなかった会社でも、出会ってみたら「こんなに面白い会社があったんだ」というくらいマッチしたというところなんです。僕が体験したこの瞬間を、もっとたくさんの人に感じてもらいたい、という気持ちが今の「ゲーたま」という形式になっています。
―2025年4月には初回の「ゲーたま」を開催されましたが、実際に取り組まれてみての印象や反響などを振り返っていただけますか。
武藤 初回は我々としても実験だらけではありました。ゲーム/eスポーツ関連のイベントを数多く手掛けてきた会社でもあるので「参加した学生が面白いと感じなかったら失敗だな」という思いもありました。もちろん就活の学びが得られるかどうかが最重要ですが、それだけでなく、単純に面白いイベントにしたいと思っていて、遊び心をどこまで入れるか、かなり意識をして作りました。
あとは自分が就活生だった頃の経験から、説明を一方通行でただ聞くだけの時間は飽きてしまうかも、という心配もあり、会話している様子なら少し聞きやすいのではないかと、僕がMCとして企業の担当者さんと会話形式で会社紹介を行う仕組みを取り入れました。
僕はよくイベントのMCを担当することがありますし、現代の学生さんは口コミなど第三者の評価を重要視する傾向にあると思います。SNSが発達した現代で、情報を疑うべきだという考えも根付いていて、第三者を間に挟んだ情報の方が受け入れやすくなっているんです。
―確かに、SNSなどで日常的にマーケティングに触れているからか「良く見せようとしている」ことには敏感になっている印象です。
武藤 企業さんは真っ直ぐに良さを説明をしているのにも関わらず、学生さんはどこか疑いの目で見てしまう。そんなハレーションを解決するため、僕というワンクッションを挟んで「今この担当者の方が説明したことは社会人の僕から見ても結構すごいことだよ」と解説をすることで、納得や信頼が増すかなと。これは双方にメリットがありますし、一方的に固くプレゼンされるよりも、 ゲームのトークやユーモアを交えながら話していく方がエンタメとしても面白いですよね。
これなら情報もしっかり伝わるだろうという試験的にやってみたのトーク形式でしたが、結果的に大成功でした。学生さんからは「聞きやすかった」「僕たちが聞きたいことを代わりにずーサンが突っ込んでくれるからありがたかった」という声をあり、企業さんからも「話題を振ってくれるので喋りやすかったですし、リアクションしてくれるから気持ちも乗って、いつもより調子が良かったです」という反響もありました。これはやって良かったなと、一回目を振り返って感じています。

―トーク形式はその新鮮さも良い刺激になりそうです。
武藤 他にも、イベントのアンケートに回答すると粗品がもらえる仕組みも説明会では定番ですよね。ただ、全員一律同じものがもらえるのはつまらないかなと。(笑)
「全員が500円のギフト券をもらえるよりも、10人に1人が3000円のギフトをもらえる方が嬉しい」というのはゲーマーの方であれば分かっていただける方も多いかもしれません。アンケートに答えるとカプセルトイの抽選にチャレンジできて、結果が分かれる形式にしてみたんです。
この仕組みのおかげだけではないと思いますが、全員がアンケートに回答してくれるという驚く数字が達成できました。その内容も、満足度の5段階評価で4以上が97%と、これは結構ヒットしたなという手ごたえがありましたね。
―そこはまさにイベント屋さんらしい着眼点や取り組みですね。MCをされる武藤さんの負担も大きそうですが。
武藤 企業さんのお話を聞きながら僕自身も学びになることも多くて、楽しいです。一方で、今後事業をスケールさせていく事を考えると、今のままですと僕に依存する部分が大きいので、開催回数や参加人数が制限されてしまうではないかと危機感は持っています。この依存度は下げなければならない課題ですね。
それこそ今はeスポーツの世界に素晴らしいキャスターやMCの方々がたくさんいらっしゃるので、そういった方たちとパートナーシップを結んでやっていくことも考えています。
―なるほど、ありがとうございます。イベントには何かしらゲームという要素にフックがある会社さんが参加されるのですか?
武藤 そうですね。事業がゲームに関連しているかは絶対条件ではなく、事業内容としては全くゲームに関係ないけれど社内にはゲーム文化がある、ゲームが好きな社員が多い、eスポーツ部があるなど、ゲームに対してポジティブであることが軸になっています。
―そうした企業のお話を聞いてみるのは面白そうですが、当てはまるケースを見つけ出すのが非常に難しいのではないかとも想像されます。どういった形で探されているのでしょうか。
武藤 おっしゃる通りで、やはり参加企業の募集が今1番苦戦しているポイントです。理由はシンプルで、僕たちが今まで人材系のサービスを全くやってなかったので、人事や採用に関するネットワークを一切持っていないところからスタートしたからなんです。
0から開拓していかなければいけないので、ほぼ起業に近い状態にあり、営業がもっと必要になると感じています。単純にまだ企業さんに当たれている数が少ない、単純なマンパワーの部分が大きいですね。
ただ、この「ゲーたま」というサービスを案内した際の手応えは今のところとても良いので、あとは興味を持ってくれる企業さんに、どれだけの数アプローチできるかだと思います。企業さんが、面白そうとだな、と感じていただいても、いきなり「ゲーたま」への参加を決断するより、ひとまず考えてみたいと感じるのも当然だと思います。
特に「ゲーたま」は新しすぎる取り組みなので、我々としても、検討に時間がかかるものだと認識して、ご案内を続けていくことが重要だと思っています。
―イベントとして回数を重ねていくことが、そのあたりの解決にも繋がりそうです。
武藤 今後の話にはなりますが、企業同士の人事交流会みたいなものを主催できたら良いなと考えています。人事の方にとっても、良い時間と情報提供ができる自信があります。「ゲーたま」に参加される企業さんのような、ゲームにポジティブな会社の人事担当者が集まって社内でのゲーム活用について情報交換する場があれば、非常に存在価値が高いと思うんです。
それなら「ゲーたま」と同じで自分たちで作った方が良いのではないか、と。こうした企画を通じて人事の方々と人脈を広げていくことも可能だと考えています。
―就活生と企業が出会う場のためにも、自らが企業を出会う場まで作ってしまおうというのは、非常に理にかなっていますね。続いて参加される学生さんについてなのですが、ゲームへの関心度もeスポーツプレイヤーの方からRPGのようなソロプレイが好きな方までさまざまだと思いますが、この辺りはどういった方が多いのでしょうか。
武藤 まず大前提として、「ゲーたま」ではゲームへの関心の深度によって人を選考することはしないと最初に決めました。例えば「チームゲームをプレイしていると集団での立ち回りが……」という考えは当然あると思いますが、GLOEに入社してゲームにハマった、当時の僕みたいな初心者な温度感の人も救いたいんですよね。
それを踏まえた上でも、学生さんは結構幅が広いですね。それこそゲームをかなりやっていてeスポーツ業界に行きたいという方もいれば、「スマホゲームだけちょっとやってます」みたいなカジュアルなタイプの方も参加しています。

―実際に参加された就活生さんの傾向など、印象的だったことはありましたか?
武藤 企業さんにご案内する時にも「ゲーマーはやっぱり内向的な人が多いですか?」と聞かれることが多いのですが、今はZ世代の8割がゲームをプレイしているというデータもあるくらいなので、もはや「ゲーマーだから」というセグメントで傾向を分析するのは不可能と言えると考えています。
その中でも、ゲーたまに来る学生さんはすごく話が弾む人が多い印象ですね。これだけ新しい切り口のイベントなので、おそらく好奇心旺盛で情報のアンテナ感度が高めな人が来てくれているんだろうなと思っています。実際に企業さんからも「学生さんが積極的に質問してくれて、座談会がすごく盛り上がって楽しかったです」との声もあったのですが、その前提があってのことなのではないかなと。

―なるほど。まだ始まったばかりのイベントですから、特に情報感度の高い人が集まったと言えるかもしれません。
武藤 僕たちはDiscordサーバーも運営しているんですが、僕も学生さんもお互いのことを見知っていますし、一方的に僕のことを知ってくれている学生さんもいます。Discordの参加者から「内定もらいました」とDMが来ることも珍しくないんですよ。
―イベント運営の方にその連絡をすることは、普通の就活イベントでは考えられないことですね(笑)。
武藤 そうなんですよ。僕らは特にゲームの世界におけるコミュニティの力をとても信じてるので、このDiscordコュニティではなんでも僕に相談できる状態にしたいですし、僕はみんなの就活が上手くいくことを願っている状態でもありたいんです。だからこそ今の報告してくれるような関係性はすごく嬉しいです。僕がMCをやるイベントで「この人の話だったら聞いてもいいかな」と思ってもらえるような信頼関係が生まれてるかなと思っています。
―Discordで就活の情報を入手するというのも、ゲーマーらしくて良いエピソードだと感じます。
武藤 僕は入社した時に新しくSNSのアカウントを作ったんですよ。以前コミュニティ活動していたサッカー関連の情報がまったく流れてこないので、人間って不思議なもので、日々目にする情報によって興味の向け先が少しずつ変わっていくんだな、と実感しました。逆に言えば、目に入るものに就活の情報が流れてくればその気になるんだというのは就活生にも伝えています。
既にXやInstagramのタイムラインが趣味で埋め尽くされているのならそれをわざわざ就活用にする必要はないから、その分僕らのDiscordに入って「通知を見に来たらみんなが就活してる」状況にすれば、自分もやんなきゃと思えるようになるよ、と。その環境に身を置くことの重要性は大きいですね。
―冒頭のお話にもありましたが、就活は急に“違うゲーム”が始まりますし、その進捗も人それぞれなので不安や焦る気持ちもありますよね。
武藤 そうですよね。しかも違うゲームと言っても、社会人として必要なスキルを身につけて評価されるなら理解できますが、面接のための極端な対策などは「試験のためだけの勉強」のようで、なんだかおかしいとも思うんです。
よく就活は恋愛に例えられます。お見合いではお互い背伸びをして着飾ってしまうと、いざ結婚してみたら実際の姿がイメージと違ったというケースがあるといいますよね。こんなミスマッチが就活の中でも起きているんです。
もっと等身大でお互いが接する機会を作らないとダメだと思いますし、その等身大で接するためのコミュニケーションの手段のひとつとして、ゲームという共通項を間に挟むイメージですね。
―そうして等身大で出会った企業に就職した学生さんが、いずれ「ゲーたま」に担当者として参加する、という未来が実現すれば理想的なサイクルですね。
武藤 そうですね。これはイベントとは別で、そのために「会社の中にゲームの文化を作る」お手伝いにも取り組んでいきたいと思っています。たとえば、社内にゲーム文化があると「社内のゲーム交流会に遊びに来なよ」といった流れで後輩を誘ってのリファラル採用(*1)もやりやすくなりますよね。他にも入社前からゲームで交流して人間関係を構築することも可能になりますし、さまざまな課題の解決にも繋がると考えています。
※社員からの紹介での採用方式。社風に合った人材を見つけやすく、ミスマッチの低減につながるとされている。
―聞けば聞くほど、今この時代に就活できるゲーム好きな学生さんが羨ましくなってきました。今後についてのビジョンや取り組みたいことなどがあれば、アイデアベースでも構いませんので聞いてみたいです。
武藤 大きなビジョンやミッションですと、我々はゲームに対してポジティブな会社さんを「ゲームフル企業」と表現をしているのですが、このゲームフル企業が就活においてめちゃくちゃ人気な世界にしたい、というのが僕らが目指してる未来、目指している世界です。
ゲームを積極的に導入して、ゲーマーに対して積極的にアプローチしてる会社が就活生から超人気だ、となれば、他の企業さんも「うちも導入したい」となるかも知れないですし、そうなれば世の中にゲームフル企業がどんどん増えていきますよね。もっとゲームが世界に浸透して、人々の生活とかライフスタイル、ライフステージに浸透していくことになると思うので、そのために「なんかゲームっていいぞ」と企業さんにも思ってもらえるものを作っていきたいです。
―すごく素敵なビジョンだと思います。
武藤 ありがとうございます。もうひとつ、我々は社名がウェルプレイドだった時代に「ウェルプレイドフェス」という大きなイベントを開催していたんですが、それが「ゲームの文化祭」とでも言えるくらい手作り感のあるイベントで、僕はそれめちゃくちゃ好きだったんです。
会場にはいろんなゲームコンテンツが並んで、ゲーム好きな人たちが集まる。自分の好きなゲームのコミュニティに行きつつ、他のコミュニティも「このゲーム面白そうだな」と覗いてみる。そんな空気感が本当に良かったので、近いものをまた実現したいですね。
ただ、これを実現して継続していくためには、やはり「ゲームのIPに依存しない」ことが重要で、ゲームタイトルの名前ではなく僕たちのブランド、僕たちのコンテンツで人を集めて喜ばせることができるようにならないといけないと思っています。
―イベントやブランドのファンになってもらうということですね。
武藤 そうです。「集客のために御社の人気のタイトルを使用させてください」ではなく、むしろ僕らが人気のコンテンツを作れているので「御社のゲームをここで色んな人に知ってもらいましょう」という構図と言いますか。僕らがちゃんとゲーム会社さんをリードできるようなものを作らないといけないと思っています。
そんな大前提はありつつですが、そこに就活を組み合わせっていくことも可能だと思います。さまざまな会社さんが出展するイベントに、ゲーム好きな学生さんたちも沢山集まってきて、ゲームフルな企業さんも出展していて、エンタメコンテンツとして参加したはずが就活に繋がっていく、みたいなイメージですね。
今回はこういった思想の話が多くなりましたが、この思想に乗ってくれる会社さんや共感してくださる会社さんともっともっと繋がりたいと思っていますし、それもコミュニティにしていきたいというのが、今後取り組みたいことになりますね。
―「ゲーたま」やCOLORLeSS、そしてGLOEさんのビジョンに向けた今後の取り組みにも注目ですね。本日はありがとうございました。
武藤 ありがとうございました!