プラチナスポンサー就任の「レッドブル」らしさも

eスポーツの一層の浸透が感じられた「東京ゲームショウ2025」現地レポート

#eスポーツ

 

2025年9月25日から28日にかけて、幕張メッセにて世界最大級のゲーム展示会「東京ゲームショウ(TGS)」が開催されました。

 

今年は47の国と地域から1,136の企業と団体が出展。国内外ともに出展社数は過去最多となり、昨年比で約115%の規模となったイベントの模様を現地写真や数字を元にレポートします。

 

eスポーツは垣根を超え、一般展示の枠組みへ

 

昨年までも幕張メッセ全館を使用して開催されてきたTGS。今年も例年通り幕張メッセのホール1から11まで全エリアを使用し、国際会議場でもセミナーや商談スペースが設けられましたが、出展者数増加に伴ってレイアウトの工夫も登場。ホールの2階コンコースにも一部のブースが進出し、これまで通路として使われてきたエリアにも展示を行うというスペースの有効活用が行われていました。

 

 

また、TGSでは出展社が「一般展示」「AR/VR」「インディーゲーム」などジャンルごとにコーナー分けが行われており、出展社が登録の際に選択することが可能です。今年はビジネスデーの2日間、AI技術の展示に特化した「AIテクノロジーパビリオン」も設置されました。

 

2022年からはそのひとつに「eスポーツ」が設けられてきましたが、今年は昨年に続いてeスポーツコーナーの出展数は1桁に。しかし、これはeスポーツ関連の出展が減ったことを意味するものではなく、むしろ「eスポーツとゲームの垣根がなくなってきた」結果と言えます。

 

国内最大手のプロチーム「ZETA DIVISION」は昨年に続いて一般展示コーナーに大型ブースを構え、昨年はeスポーツコーナーに出展していたチーム「REJECT」も一般展示へと進出。どちらもブースでは所属プレイヤーとストリーマーによるステージイベントも開催しており、eスポーツとストリーマーの文化が広く受け入れられていることを示すと言えるでしょう。

 

(REJECTブースではこれまで獲得したトロフィーも展示)

 

そして、以前はeスポーツ選手やeスポーツファンが使用するものという印象もあったゲーミングデバイスなどを手掛けるメーカーも「ゲーミングハードウェア」コーナーに。そしてゲーミングチェアや防音室などは「ゲーミングライフスタイル」コーナーで展示されており、ゲーム環境にこだわることがコアゲーマーでなくとも当然になりつつあることが読み取れる光景が展開されていました。

 

また、単独で4日間のブース出展は難しい規模のチームも、スポンサー企業や団体のブースにてイベントを開催するなど、連携した形でのTGS参加が増加。こういったコーナーの垣根を超えた取り組みもあり、eスポーツコーナーへ出展するチームや企業の数は減っていると考えられますが、会場内におけるeスポーツイベントの多さは年々加速しているようにも感じられました。

 

また、「ZETA DIVISION」と「REJECT」のブースではどちらもスポンサー企業とコラボしたデバイス展示を行っており、「eスポーツチーム×デバイス」のトレンドに追従。REJECブースでは所属Vtuberのイラストを採用した新商品のマウスパッドが大きな人気を集めており、ZETA DIVISIONブースではPCやモニター、ヘッドホンに椅子と、一般的なゲーム環境に必要なほぼ全てがコラボデバイスで揃うという驚きの充実ぶりも見られました。

 

 

レッドブルならではのステージや取り組みも

 

そして、今年のTGSにおける大きなトピックスがイベントのプラチナスポンサーに就任した「レッドブル」の存在です。会場内のいたるところでお馴染みの「レッドブル・エナジードリンク」が配布されたほか、ステージイベントにはレッドブルがサポートするアスリートであるF1ドライバーの角田裕毅選手も登場しました。

 

レッドブル社はF1チームの保有をはじめとしたモータースポーツに加え、BMXやクライミング、サーフィンなど、あらゆるスポーツへのサポート活動を積極的に行っています。それはeスポーツも例外ではなく、日本を代表する格闘ゲーマーである梅原大吾(ウメハラ)選手らも「レッドブルアスリート」としてサポートを受けています。

 

レッドブルはTGSの開催に合わせ、レッドブルアスリートであるウメハラ選手を校長とし、同じくレッドブルアスリートのボンちゃん選手、ガチくん選手らトッププロが講師として、『ストリーマー6』の若き才能を発掘するスペシャルプログラム「RedBull 283 Academy(レッドブル ツバサアカデミー)」も実施。

 

 

本イベントは16歳から24歳のアマチュアプレイヤーが対象となっており、中には「チャレンジコース」として、ゲーム内の最高ランクが中級者程度のプレイヤーも募集されました。8月には事前予選で選抜された12人のプレイヤーが3人ずつ4チームに分けられ、それぞれのチーム専属の“講師”として2名のプロ選手からの指導で腕を磨く合宿も開催されました。

 

TGSのステージイベントでは、その成長を披露する場として4チームによるトーナメントを開催。8月の合宿で“中間試験”と銘打って行われた対戦会では最下位だったチームが見事に優勝を果たし、若手プレイヤーの成長力を大いに見せつける結果となりました。

 

 

会期中には「ブレイキン」と『ストリートファイター6』を組み合わせたスペシャル対戦ステージも実施されており、スポーツやカルチャーと融合させることでeスポーツの新たな魅力を創出する施策や人材育成への取り組みなど、まさに“レッドブルならでは”のカラーも見られるTGSとなりました。

 

2026年は5日間開催に

 

TGS2025の総来場者数は4日間で263,101人に上り、歴代3位の動員数に。特に出展社数増加やインフルエンサー枠での来場もあり、ビジネスデーの来場者数は年々大きく増加しています。

 

一方で一般公開日の来場者は各日8万人弱と、昨年より控え目な数字となりましたが、入場チケットは事前に完売しており、会場のキャパシティを踏まえた上で来場者に良い体験ができる人数を絞って販売されたものと考えられます。

 

そして、既に2026年のTGSは9月17日(木)~21日(月・祝)の5日間開催となることが発表されています。海外のゲームショウでは5日間開催されるイベントも珍しくありませんが、日本では初の試みとなる来年のTGSがどのような規模・内容になるのか、今から注目が集まっています。

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