注目の生成AI「ChatGPT」と「Claude」を比較して紹介

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近年、ITエンジニアの業務においても、生成AI(人工知能)の活用が急速に進んでいます。特に「ChatGPT」と「Claude」は、その性能で大きな注目を集めています。

 

ここでは、「ChatGPT」と「Claude」について、開発元やリリース時期、バージョン、得意とする分野などを比較しながら解説します。さらに、Google Gemini、DeepSeek、Microsoft Copilotといった注目の生成AIについても触れていきます。

 

「ChatGPT」と「Claude」の違いとは?比較しながら解説

 

「ChatGPT」と「Claude」について、開発元や開発方針、得意分野などの特徴、バージョンアップ履歴、料金プランなどを比較しながら解説します。

 

1.開発元

ChatGPT:「OpenAI」

公式ウェブサイト:https://openai.com/

 

ChatGPTは、サンフランシスコを拠点とするAI開発企業「OpenAI」によって開発されています。

 

OpenAIは、AGI(汎用人工知能)が全人類に利益をもたらすようにすることを理念に掲げるNPO(非営利団体)として運営されています。近年は営利企業への転換を模索していましたが断念し、引き続きNPOが管理する体制が継続されることになりました。

 

OpenAIへはMicrosoftが巨額の出資を行っており、MicrosoftのAIツール群「Copilot」にはOpenAIの技術が使われています。

 

 

Claude:「Anthropic(アンスロピック)」

公式ウェブサイト:https://www.anthropic.com/

 

一方のClaude(クロード)は、サンフランシスコを本拠とする「Anthropic(アンスロピック)」によって開発されました。

 

AnthropicはOpenAIの元メンバーによって設立されたスタートアップ企業及び公益法人であり、本拠地がOpenAIと同じサンフランシスコなのは偶然ではありません。

 

AnthropicはAmazonから巨額の出資を受けており、自ら大規模言語モデルを開発するGoogleも出資を行っています。

 

 

2.リリース時期・バージョン進化

 

ChatGPT:2022年11月リリース

公式URL:https://openai.com/ja-JP/chatgpt/

 

ChatGPTは、2022年11月30日に「GPT-3.5」のプロトタイプが公開されました 。このリリースにより、一般社会における生成AIへの関心は爆発的に高まり、市場全体に大きな衝撃を与えたことは記憶に新しいところでしょう。

 

ChatGPTは、リリース後も目覚ましい速さで進化を続けています。「GPT-3.5(2022年11月)」と「GPT-4(2023年3月)」を続けざまにリリースした後は、文章や画像など2つ以上の異なるデータを同時に扱う「マルチモーダル」対応を強化した「GPT-4o(2024年5月)」と、その軽量版「GPT-4o mini」をリリースしました。

 

それとは別系統として、「o」シリーズと呼ばれる特定能力に特化したモデル群も開発しています。2024年9月に、応答前に「思考」する能力を持つ「o1」と、小型化した「o1-mini」をリリース。さらにo3、o3-mini、o4-miniへと進化を続けています。

 

Claude:2023年3月リリース

 

公式URL:https://claude.ai/

 

Claude の最初のモデル「Claude 1」は、2023年3月14日に一般公開されました 。これはChatGPTの登場から約4ヶ月後であり、既に高まっていた市場の期待と注目の中でのデビューとなりました。

 

Claudeの進歩も早く、最初のClaude 1(2023年3月)の後は、入力できるコンテキスト長が大幅に拡張されたClaude 2(2023年7月)、さらにその倍に拡張したClaude 2.1(2023年11月)を続けざまにリリースしています。

 

さらに、2024年3月14日には次世代となるClaude 3ファミリー(Opus、Sonnet、Haiku)をリリース。中でも、2024年6月にリリースされた「Claude 3.5 Sonnet」は、中位モデルでありながら最上位モデルOpusを超える性能を記録しAIの進化の速さを感じさせました。

 

2025年2月には、コーディング性能を強化する「拡張思考モード」を搭載した「Claude 3.7 Sonnet」をリリース。コーディング分野でもChatGPTに迫る進化を遂げました。

 

3.得意とする分野

ChatGPT:2つのモデル系統で幅広い分野に対応

ChatGPTは汎用性の高さが際立っています。一般的な質問応答や、文章作成、文章の要約・翻訳・添削はもちろん、データ集計・整理、アイデア出し、コーディングの補助もこなします。さらに、OpenAIが開発してきた「DALL-E」を統合したことで、画像生成もこなせるようになりました。

 

また、GPT4系統と「o」シリーズでは得意分野が異なることも特徴です。GPT4系統は共感力や微妙なニュアンスの使いこなしなど、クリエイティブな発想を得意とする一方、「o」シリーズは論理的な推論能力が高く、計算やデータ分析、コーディングなどを得意としています。

 

Claude:自然言語処理・文章生成に強み

Claudeは自然言語処理を得意とします。これは、大量のテキストデータの読み込みや、それを正確に把握する能力につながっています。

 

また、Claudeは比較的初期のモデルから文章生成能力が高いことで注目されました。より自然な長文の生成に長けており、エッセイや創作文、文章の要約、翻訳なども得意としています。

 

最新の「Claude 3.7 Sonnet」では、従来モデルよりも高度な論理的推論が可能となったことで、ユーザーからの指示の理解力が向上し、苦手としていた数学的推論の精度も大幅に向上させています。

 

 

4.コーディング能力

ChatGPT:コーディング支援のトップランナー

ChatGPTは、ソフトウェア開発現場でのコード生成やデバッグの補助として既に利用されています。

 

コーディング能力は「o3-mini」から大幅に向上しており、Pythonを中心としたコーディングはもちろん、高度なリファクタリングの提案や、論理的なデバッグ支援でも優れた能力を発揮します。

 

また、マルチモーダルの進化により、例えば作りたいウェブサイトのスケッチを読み込ませることでコーディングを行うことも可能となりました。

 

 

Claude:3.7 Sonnet からコーディング能力が大幅に向上

Claudeは、2025年2月にリリースした「Claude 3.7 Sonnet」から論理的推論能力が大きく向上し、数学的推論の精度も大幅に向上しました。これによりコーディング能力も向上し、ChatGPTに比肩するレベルになったとされています。

 

特にPythonの扱いに長けており、サービスやアプリの開発支援はもちろん、既存コードの解析や最適化、バグ修正の提案まで高精度で行えます。また、ターミナル上で使用できるAIコーディングエージェントツール「Claude Code」もリリースされました。

 

 

5.利用料金

 

ChatGPTの料金プラン

ChatGPTには以下の5つのプランがあります。(2025年5月時点)

 

・無料版

・Plus:$20

・Pro:$200

・Team:$25~30(1ユーザーあたり)

・Enterprise(問い合わせ)

 

無料版で利用できるモデルは「GPT-4o mini」で、「GPT-4o」「o3-mini」へも制限付きでアクセス可能です。Plusではさらに「o3‑mini」「o3‑mini‑high」「o1」なども利用できるようになります。

 

ProはPlusの内容に加えて、最高性能となる「o1 プロモード」へのアクセスが可能となります。また「GPT-4o」へのアクセス制限がなくなります。

 

それ以外に、チームで利用するためのTeamプラン、より大きな組織で使用する場合のEnterpriseプランがあります。

 

 

Claudeの料金プラン

Claudeには以下の5つのプランがあります。(2025年5月時点)

 

・Free

・Pro:$20

・Max:$100

・Team:$25(1ユーザーあたり)

・Enterprise(問い合わせ)

 

Freeプランで利用できるモデルは最新の「Claude 3.7 Sonnet」ですが、利用回数が限られます。ProはFreeプランの5倍の利用が可能になり、「Claude 3.5 Haiku」「Claude 3 Opus」へのアクセスが可能となります。

 

Maxプランでは最大20倍の利用が可能になり、コーディング支援ツール「Claude Code」にターミナルから直接アクセス可能になります。また、混雑時の優先アクセスが約束されます。

 

それ以外に、チームで利用するためのTeamプラン、より大きな組織で使用する場合のEnterpriseプランがあります。

 

ChatGPTとClaudeのAPI利用料

ChatGPTとClaudeでは、効率的なサービス開発や自社製品にAIを組み込む際に利用するための「API」の提供も行われています。

 

過去の言語モデルも含め多くの料金プランが用意されており、また、利用する量によっても価格は異なります。詳しくは以下のリンクよりご確認ください。

 

API 料金|OpenAI

モデルと料金|Anthropic

 

「ChatGPT」と「Claude」以外の生成AI

 

ChatGPTとClaude以外にも注目の生成AIが存在します。ここでは、Google Gemini、DeepSeek、Microsoft Copilotを取り上げ、それぞれの特徴を紹介します。

 

1.Google Gemini

公式URL:https://gemini.google.com/

 

Googleが開発を行う「Gemini(旧名:bird)」は、設計当初からテキスト、画像、音声、動画、コードといった多様な情報を統合的に処理できるマルチモーダルAIモデルとして開発されました。これにより、競合するAIに比べて、より一貫性のあるデータ処理能力を提供することが特徴です。

 

複数のモデルが存在し、最新版は2025年5月にリリースされた「Gemini 2.5」シリーズです。最高性能の「2.5 Pro」と、価格とパフォーマンスのバランスに優れた「2.5 Flash」が選べます。また、2024年12月にリリースされた「Gemini 2.0」シリーズも引き続き利用できます。

 

Google Geminiの特徴

Geminiの強みは、Googleが提供するサービスとの連携です。Google検索、AIチャットアプリケーション、Googleドキュメントやスプレッドシート、さらにPixelシリーズのスマートフォンなどにも統合されています。

 

ITエンジニアにとっては、Google Cloud Platform (GCP) のVertex AIを通じてAPIとして利用できる点が注目に値するでしょう。既存のクラウドインフラとスムーズに連携するネイティブなAIツールキットとして注目されています。

 

2.DeepSeek

公式URL:https://www.deepseek.com/

 

DeepSeekは、中国の人工知能研究所である「杭州深度求索人工智能基础技术研究有限公司(Hangzhou DeepSeek Artificial Intelligence Co., Ltd.)」が開発を行うオープンソースの大規模言語モデルです。中国のヘッジファンド「幻方量化(High-Flyer Capital Management)」からの全面的な支援を受けています。

 

DeepSeekは、学習プロセスの自動化により開発コストの大幅な圧縮を実現したことで注目されています。「GPT-4o」と同程度の性能を1/10程度のコストで実現したとされ、それに伴い利用料金もリーズナブルになっており、中国ではAIの価格破壊として衝撃を与えました。

 

DeepSeekの特徴

DeepSeekには、万能型の「DeepSeek V3」、コーディングに特化した「DeepSeek Coder」、論理思考に特化した「DeepSeek R1」の3つのモデルがあります。このうち「R1」のコーディング能力は、Chat  -GPT「o1」に比肩するレベルとされています。

DeepSeekはオープンソースであり、個人や企業が自由に利用・カスタマイズできます。商用利用を含む幅広い活用が可能であることから、今後、さらに大きな広がりを見せると注目されています。

 

 

3.Microsoft Copilot

公式URL:https://copilot.microsoft.com/

 

Microsoft Copilotは、Microsoftが開発している検索エンジン型チャットボットです。Microsoftが出資を行っているOpenAIの「GPT-4」や画像生成AI「DALL-E 3」をベースとしています。

 

Word、Excel、PowerPoint、Outlook、TeamsといったMicrosoft 365の製品群や、検索エンジンBing、さらにはWindows OSなど、Microsoftの製品と深く連携して機能することがアドバンテージとなっています。

 

Microsoft Copilotの特徴

Microsoft Copilotの最大の特徴は、Microsoft製品群と連携し、ユーザーの作業効率を向上させることに主眼が置かれている点です。例えば、Excelではユーザーが言語で指示することでデータ分析やグラフ作成が可能になり、PowerPointでは文書からプレゼンテーションを自動生成できます。

 

まておりた、開発者向けのサービスとして、Microsoftが提供するクラウドサービス「Azure」で機能する「Microsoft Copilot in Azure」があります。アプリケーションやインフラの設計・運用・最適化や、トラブルシューティングを簡素化するためにCopilotが用いられ、Azure環境における生産性向上のために無視できない存在といえるでしょう。

 

まとめ

 

「ChatGPT」と「Claude」を中心に、その特徴や違いを詳しく比較してきました。

 

ChatGPTは早くから汎用性の高いAIとして様々な分野で活用されてきました。一方、Claudeは自然言語処理と文章生成に強みを持ちながら、近年はコーディング能力も大幅に向上させています。

 

両者ともに無料プランから企業向けの高度なプランまで幅広い選択肢があり、APIを通じた開発利用も可能です。また、GoogleのGemini、DeepSeek、MicrosoftのCopilotなどのAIも急速に進化しています。

 

生成AIは今後も進化を続け、Itエンジニアの業務にも深く浸透していくことでしょう。各AIの特性を理解し、目的に応じて適切なAIを選択・活用することが重要になっていくと考えられます。

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