DX補助金情報Vol.1
DX補助金をわかりやすく解説する本連載。今回は第1回として、DXに活用できる主要な補助金・助成金の最新情報を一覧形式で紹介するとともに、制度の違いや選び方、申請時の注意点までをわかりやすくまとめました。
DXに関する補助金・助成金の種類や注意点などを詳しく知りたい方、DX推進に向けた第一歩を踏み出したい担当者さまは、ぜひ参考にしてください。
DXを進めるには、システム導入や人材育成など多くのコストがかかるため、国や自治体では企業のDX推進を支援する補助金や助成金を数多く用意しています。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX動向2024」調査によると、企業がDXに取り組めない理由として「DXに取り組むための予算が不足している」を挙げている企業も多く、企業規模別の平均30%以上の企業が、DXのコスト面に課題を感じている結果となっています。
(※引用:IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「DX動向2024」p9)
こうした現状を受けて、国や自治体では、企業や個人事業主のDX推進を支援する補助金・助成金制度を多数展開しています。融資とは異なり返済不要であることから、DXにかかるシステム導入や人材育成のコスト面のハードルを下げる大きな手段となっています。
まずは制度の存在を知り、自社の取り組みに合った活用方法を検討することが、DX実現への第一歩です。
※参考:IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「DX動向2024」
補助金と助成金はいずれも返済不要の公的支援ですが、目的や申請条件に違いがあります。次の表に、それぞれの概要をまとめました。
項目 | 補助金 | 助成金 |
提供元 | 経済産業省、地方自治体、関連団体など | 厚生労働省、地方自治体、関連団体など |
目的 | 新規事業の立ち上げ、設備導入、DX推進など | 雇用の安定・拡大、人材育成、職場環境改善など |
特徴 | 種類が豊富で自社の目的に合う制度を見つけやすい | 対象条件を満たせば受給できる可能性が高く、継続的に募集されることが多い |
採択の難易度 | 種類が豊富で自社の目的に合う制度を見つけやすい | 要件を満たせば比較的受けやすい |
注意点 | 募集期間が短いことも多く、採択件数・予算に限りがあるため、人気制度は早期に締切る場合もある | 人気の高い助成金は、予算の関係で早期終了の可能性がある |
表にあるとおり、補助金は経済産業省や自治体が実施し、事業の新規性や成長性などの審査を通過しないと受け取れません。
一方、助成金は厚生労働省などが管轄し、対象条件を満たせば比較的受給しやすい制度です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、社会やビジネスのあり方そのものを変革する取り組みです。単なるIT化ではなく、経営戦略の見直しや業務プロセスの再構築など、企業全体の価値向上を目指すのが特徴となっています。
経済産業省が提示する「デジタルガバナンス・コード3.0(旧:DX推進ガイドライン)」で、具体的に企業がDXの推進により持続的な企業価値の向上を図っていくために重要だとされている4項目を、わかりやすくまとめました。
【経済産業省「デジタルガバナンス・コード3.0 ~DX経営による企業価値向上に向けて」】
①DX戦略の明確化:デジタル技術を新たな価値を生み出す重要な資源と捉え、明確なDX戦略を立てること。 ②収益につながる活用:単なる効率化にとどまらず、既存事業の付加価値向上や新たなデジタルビジネスの創出につなげること。 ③システムの持続的改善:古くなったITシステムが足かせにならないよう、計画的に性能や使いやすさを向上させること。 ④部門横断の体制づくり:経営企画・現場・IT部門などが連携し、組織全体でDXに取り組む体制を整えること。 |
※参考:IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「DX動向2024」
DXは、変化に強く柔軟な組織への進化が目的であり、企業の競争力強化と持続可能な成長が重要なポイントだとされています。
DXは単なるITツールの導入にとどまらず、経営戦略そのものの見直しや組織文化の変革が求められる取り組みです。経済産業省の「デジタルガバナンス・コード3.0(旧:DX推進ガイドライン)」では、企業がDXを成功させるために整えるべき体制やアクションが明確に示されています。
たとえば、以下のような項目が具体的に推奨されています。
・経営ビジョンにDXの意義の明示と社内への浸透
・DX実行を支える専任組織の設置や人材の配置
・経営層の強力なリーダーシップの発揮
・DX投資に関する意思決定の迅速化と柔軟な体制づくり
・全社的なITシステムの見直しと運用体制の構築
・継続的な社員教育とデジタル人材の育成
これらは、単なる業務改善ではなく、企業価値の向上や競争優位性の確立を目指す「経営変革」としての位置づけです。
DXは一過性のプロジェクトではなく、企業の成長を左右する持続的な取り組みであると理解し、補助金や助成金の支援を受けながら、中長期的な視点で進めることが重要となります。
DXの実現は「ITツールを入れれば終わり」ではありません。戦略策定から体制づくり、導入後の運用・改善まで、多岐にわたる工程が必要となり、それぞれに応じたコストが発生します。
DXにかかる代表的なコストは、次のとおりです。
・体制構築費:プロジェクトチームの立ち上げ、専門家への報酬、外部コンサル費用など
・企画・開発費:設備導入、ソフトウェア購入、クラウド構築、外注費など
・広告宣伝費:新サービスのPR、展示会出展、販促活動など
・人材育成費:デジタル研修、社内教育、リスキリング施策など
これらの多くは補助対象経費として認められており、制度を活用すれば自己負担を大きく抑えることができます。
DXを進めるうえで役立つ補助金は、国が実施する全国向けのものから、市区町村といった地域に限定されるものまで、さまざまな種類があります。
DXで使える主な補助金は、次のとおりです。
・IT導入補助金
・事業再構築補助金
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
・中小企業省力化投資補助
・中小企業デジタル活用支援補助金(愛知県名古屋市)
・堺市中小企業デジタル化促進補助金(大阪府堺市)
補助金それぞれの目的や対象者・条件などをまとめました。自社の取り組みに合致する制度を見つけるための参考にしてください。
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が業務効率化やDXを進める際に必要なITツールの導入を支援する制度です。
事業のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムの導入を支援する「通常枠」、インボイス制度に対応したソフトなどの導入支援の「インボイス枠」、セキュリティ対策推進枠、複数者連携IT導入枠といった複数種類の申請枠に分かれています。
【IT導入補助金の概要の概要】
項目 | 内容 |
対象者 | 中小企業・小規模事業者(製造業、宿泊業、飲食業、介護・保育事業など幅広い業種) |
要項の要点 | 登録された「IT導入支援事業者」と連携して申請すること。導入目的が業務効率化や生産性向上に資するもの。 |
対象経費 | ソフトウェア導入費、クラウド利用料、ハードウェア(一定条件あり)、導入関連費用など |
補助金額 | 通常枠:最大450万円(補助率1/2または2/3)/インボイス枠:最大350万円(補助率は内容により異なる) |
(参考:サービス等生産性向上IT導入支援事業|IT導入補助金制度概要)
事業再構築補助金は、ウィズコロナ・ポストコロナ時代に対応し、業態転換や新分野への進出など大胆な経営転換を支援する制度です。
DXを通じた新規事業の立ち上げやビジネスモデルの変革にも活用されており、システム導入、設備投資、研修、広告費など幅広い経費が補助対象となります。ただし、成長分野進出枠(通常類型)、コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)など5つの事業類型があり、それぞれで対象経費や補助金額、補助率などは異なります。
【事業再構築補助金の概要】
項目 | 内容 |
対象者 | 中小企業・中堅企業(売上減少要件や業態転換を目指すことが条件) |
要項の要点 | 「事業再構築指針」に沿った取り組みであること。認定経営革新等支援機関の確認書が必要。 |
対象経費 | 設備導入費、システム開発費、研修費、クラウド利用料、外注費、広告宣伝費、知財関連費など |
補助金額 | 成長分野進出枠(通常類型)最大7千万円(補助率:1/2〜2/3) / 成長分野進出枠(GX進出類型)最大1.5億円など(補助率:1/2〜2/3) |
(参考:事業再構築補助金)
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称:ものづくり補助金)は、中小企業・小規模事業者が革新的な製品やサービスの開発・提供や、海外需要開拓を行う事業のための設備投資を支援する制度です。新技術を活用したDX対応の製品開発や、生産プロセスの自動化・効率化を図る投資などが補助対象になります。
補助対象事業枠として、製品・サービス高付加価値化枠・グローバル枠、さらには特例措置の大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例・最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例があり、補助上限額や補助率などは異なります。
【ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の】
項目 | 内容 |
対象者 | 中小企業・小規模事業者(製造業、サービス業、小売業など) |
要項の要点 | 革新的な製品・サービスの開発、または生産性向上を目的とした投資であること。事業計画書の提出が必要。 |
対象経費 | 機械装置費、システム開発費、技術導入費、外注費、広告宣伝費、専門家費用など |
補助金額 | 製品・サービス高付加価値化枠:最大2千500万円(補助率:1/2〜2/3)、グローバル枠:最大3千万円(補助率:1/2〜2/3)など |
中小企業省力化投資補助(一般型)は、人手不足に悩む中小企業を対象に、省力化・自動化に資する設備導入を支援する制度です。カタログに登録された製品に限定されず、オーダーメイドやセミオーダーメイドの設備・システムも対象となります。
ロボットやIoT、AIなどの技術を活用して生産性を高め、業務の効率化を図る取り組みが対象です。DX推進を通じた人手不足の解消や、付加価値向上を目指す企業にとって有効な補助制度となっています。
【中小企業省力化投資補助(一般型)の概要】
項目 | 内容 |
対象者 | 中小企業者、小規模企業者・小規模事業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人 |
要項の要点 | デジタル技術(IoT、AI、ロボット等)を活用し、省力化や生産性向上につながる設備導入を行うこと。 |
対象経費 | 機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用費など |
補助金額 | 最大1億円(補助率:3/1~3/2)※従業員数により異なる |
名古屋市では、市内中小企業者のデジタル化を促進するため、DXの取組みに要する経費の一部を補助する制度を設けています。対象は、デジタル技術を活用した販路開拓や業務効率化、生産性向上などを通じて、賃上げを含む経営課題の解決を目指す事業です。
「通常枠」「賃上げ枠」「ロボット枠」の3つの枠が用意されており、事業内容に応じて柔軟に活用できるのが特徴です。
【中小企業デジタル活用支援補助金の概要】
項目 | 内容 |
対象者 | 名古屋市内で事業を営む中小企業 |
要項の要点 | デジタル技術の活用により、販路の開拓や生産性の向上等につながる事業を行う事業者が補助対象者となる。 |
対象経費 | ソフトウェア等導入費、設備費、ロボット導入費 |
補助金額 | 上限500万円(補助率:1/2以内) |
大阪府堺市では、人手不足や原材料価格の高騰など、急激に変化する経営環境に対応しながら、市内中小企業の生産性向上を支援するための補助制度を実施しています。
本補助金は、デジタルツールを活用し、業務改善や業績向上に継続的に取り組む中小企業を対象としたもので、導入にかかる費用の一部を補助するものです。
【堺市中小企業デジタル化促進補助金の概要】
項目 | 内容 |
対象者 | 堺市に事業所を有する事業者かつ産業DX支援センター又は堺商工会議所で申請する補助事業について支援を受けた事業者 |
要項の要点 | デジタルツールを活用し、継続的に自社業務の成長・発展を図る事業であることが補助対象事業となる。 |
対象経費 | IoT・AI・ロボット・RPA・ソフトウェア・クラウドサービスの導入・運用・委託外注経費 |
補助金額 | 上限100万円(補助率:1/2以内) |
DXを進めるうえで活用できるのは補助金だけではありません。一定の条件を満たすことで比較的受給しやすい「助成金」も、人的リソースの確保やスキルアップに役立ちます。
DXで使える主な助成金は、次のとおりです。
・キャリアアップ助成金
・人材確保等支援助成金(テレワークコース)
・人材開発支援助成金
・DX推進助成金(東京)
・DXリスキリング助成金(東京)
・サイバーセキュリティ対策促進助成金(東京)
・躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(東京)
とくに雇用環境の整備やデジタル人材の育成に取り組む企業にとっては、継続的な支援となるでしょう。DX推進に活用できる代表的な助成金について、くわしく紹介します。
キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者といった非正規雇用労働者の正社員化や、待遇改善を図る企業に対して支給される制度です。正社員化支援・処遇改善支援に分かれているうえ、助成金支給コースは複数あるため、自社の状況に合わせて選択が可能です。
【キャリアアップ助成金の概要】
項目 | 内容 |
対象者 | 有期契約・短時間・派遣など非正規雇用労働者を雇用している事業主 |
要項の要点 | 対象労働者を正社員化、処遇改善など、キャリアアップに向けた取り組みを実施すること。 |
対象経費 | 正社員転換に伴う人件費、研修費、評価制度整備の費用など |
助成金額 | 正社員化コース:1人あたり最大80万円(中小企業)※その他コースにより金額は異なる |
(参考:厚生労働省|キャリアアップ助成金)
人材確保等支援助成金(テレワークコース)は、テレワーク制度の導入・活用を通じて、労働環境を改善し、人材確保や定着を図る中小企業を支援する制度です。
既にテレワークを実施している企業でも、拡充や定着に向けた取り組みであれば申請可能です。DXの一環として柔軟な働き方を推進する企業にとって、積極的に活用したい制度です。
【人材確保等支援助成金(テレワークコース)の概要】
項目 | 内容 |
対象者 | 雇用保険の適用事業主かつ中小企業事業主 |
要項の要点 | 就業規則の整備、労務管理体制の構築、ICT機器導入、テレワーク研修の実施など、助成対象となる取り組みを実施すること。 |
対象経費 | 専門家費用、就業規則変更費、ICT導入費など |
助成金額 | 制度導入助成:最大20万円、目標達成助成:最大15万円 |
(参考:厚生労働省|人材確保等支援助成金(テレワークコース))
人材開発支援助成金は、企業が従業員に対して行う職業訓練やスキルアップ施策を支援する助成金です。
中でも「人への投資促進コース」は、デジタル人材の育成やリスキリングに重点を置いており、DXを担う人材基盤を整えるために活用できます。サブスクリプション型のオンライン研修なども対象となり、柔軟な活用が可能な助成金です。
【人材開発支援助成金(人への投資促進コース)の概要】
項目 | 内容 |
対象者 | 常時雇用する労働者に職業訓練等を実施する事業主 |
要項の要点 | DX人材育成、社内研修、外部講座の受講など、訓練計画を立てて実施すること |
対象経費 | 訓練受講料、講師費、教材費、訓練期間中の賃金の一部など |
助成金額 | 賃金助成額:1人1時間あたり最大1,000円、経費助成率:最大75%など定められた経費を元に、以下の計算式に当てはめて算出
・経費 × (助成対象労働者数/契約者数(総受講者数)) × (訓練の実施期間の日数/定額制サービスの契約期間の日数) × 助成率(06023) = 経費助成額 |
(参考:厚生労働省|人材開発支援助成金)
DX推進助成金は、東京都および東京都中小企業振興公社が実施する制度で、都内中小企業のDXを段階的かつ継続的に支援することを目的としています。
アドバイザーの派遣による戦略策定から、デジタル技術の導入・活用まで一貫してサポートされる点が特長です。機器やシステムの導入にかかる費用が助成対象となります。
【DX推進助成金(東京都)の概要】
項目 | 内容 |
対象者 | 東京都内に本社または主たる事業所を有する中小企業 |
要項の要点 | DX戦略策定、アドバイザー支援の実施後に、デジタル技術を活用した導入・活用に取り組むこと。 |
対象経費 | デジタル機器・システムの導入費、外注費、クラウドサービス費、ソフトウェア開発費など |
助成金額 | DX戦略策定支援コース:最大3千万円(補助率:2/3以内) / 生産性向上コース:最大3千万円(補助率:1/2以内) |
(参考:東京都|令和6年度DX推進支援事業)
DXリスキリング助成金は、都内企業が自社のDX推進に必要なスキルを従業員に習得させるための研修を行う際に、費用の一部を助成する制度です。
社内研修や外部講座など、実施形式を問わず幅広い研修が対象となり、デジタル人材の育成を通じて業務変革の土台を整えることができます。
【DXリスキリング助成金の概要】
項目 | 内容 |
対象者 | 東京都内で事業を営んでいる中小企業等 |
要項の要点 | DX推進を目的としたスキル習得のためのレディメイド研修またはオーダーメイド研修であり、都の指定要件に基づき実施すること。 |
対象経費 | 研修に係る経費(受講料・教科書及び教材代・研修に付随する登録料・管理料)など |
助成金額 | 助成対象受講者1人1研修あたり最大7万5,000円(補助率:3/4) |
るための対策を実施する際に、その導入費用を支援する制度です。
企業秘密や個人情報を保護する観点から構築した対策や不正アクセスから企業を守る取り組みに対し、支援が受けられます。
【サイバーセキュリティ対策促進助成金の概要】
項目 | 内容 |
対象者 | 東京都内に本社・主たる事業所を有する中小企業など(IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が実施しているSECURITY ACTIONの2段階目を宣言している企業などに限る) |
要項の要点 | 自社のセキュリティ強化を目的とし、専用機器・ソフトウェアの導入などを行うこと。 |
対象経費 | セキュリティ機器導入費、設定作業費、管理ソフト費、標的型メール訓練費など |
助成金額 | 最大1,500万円(補助率:2/1以内) |
(参考:東京都中小企業振興公社|サイバーセキュリティ対策促進助成金)
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(東京都)
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は、製品・サービスの質的向上による都内中小企業の競争力強化や、生産能力の拡大のための生産性向上を進めるための設備導入を支援する制度です。
試作・開発段階ではなく、実際の生産・提供フェーズへの移行を目的とした投資が対象となります。
【躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の概要】
項目 | 内容 |
対象者 | 東京都内に登記簿上の本社や支店を有する中小企業など(都内で2年以上事業継続している事業者に限る) |
要項の要点 | 新たな製品・サービスの質的向上または生産能力の拡大を目的とした、量産フェーズでの機械設備導入を行うこと。 |
対象経費 | 機械設備の購入・据付費、事業継承に係る設備費など |
助成金額 | 最大2億円(補助率:事業区分などにより異なる) |
(参考:東京都中小企業振興公社|躍進的な事業推進のための設備投資支援事業)
DX補助金・助成金は、申請すればすぐに受け取れるものではなく、いくつかの手続きを経てから交付されます。
申請~補助金・助成金の採択後までの大まかな流れは、次のとおりです。
①申請の準備
②公募への申請
③採択の結果通知・交付手続き
④補助対象の事業開始
⑤事業の実績報告
⑥支給額確定・補助金受給
⑦事業の定期報告
①計画書提出
②計画の認定
③計画の実施
④支給申請
⑤通知書の送付・支給の決定
DX関連の補助金・助成金を選ぶ際は、自社の課題や目的に合った制度を見極めることが大切です。補助金は審査制であり、採択件数や予算に上限があるため、申請すれば必ず通るというものではありません。
審査では、制度の趣旨と事業内容がどれだけ合致しているかが重視されるため、自社の状況に適した制度を選ぶことが、採択されるための第一歩となるためです。
一方で、助成金は一定の審査基準を満たしていれば、比較的高い確率で受給できる制度です。そのため、はじめて公的支援を活用する企業や、社内のリソースが限られていて複雑な申請が難しい企業にも適しています。
補助金と助成金それぞれの特徴を理解し、自社の戦略やリソース、スケジュールに適した制度を選びましょう。
補助金・助成金を活用する際には、いくつか注意しておきたい共通のポイントがあります。主な注意ポイントは、次のとおりです。
・申請期間に間に合うよう準備が必要になる
・採択までには審査がある
・一定以上の資金は必要になる
これらを理解したうえで、制度ごとの要件やスケジュールを十分に確認して進めましょう。詳しく解説していきます。
補助金や助成金は制度ごとに申請期間が異なり、数週間〜数か月と幅がありますが、人気の高い制度では早期に締切られるケースもあります。「公募を見つけた時には既に終了していた」「書類を揃えるのに時間がかかり、締切に間に合わなかった」といったケースが挙げられます。
とくに補助金は事業計画書や見積書、各種証明書類など準備が多いため、余裕を持ったスケジュールが重要です。気になる制度があれば、まずは申請スケジュールを確認し、できるだけ早めに準備を始めましょう。
補助金や助成金の多くは、申請すれば必ずもらえるわけではありません。とくに補助金は、申請内容に対して国や自治体が審査を行い、採択された事業のみが支援対象となります。
審査では、事業の実現性や成長性、地域貢献性などが評価されるため、書類の記入漏れや不備があると不採択のリスクが高まることを理解し、入念に準備をしましょう。
補助金や助成金は、原則として「後払い」が基本です。事業にかかった費用を一度自社で立て替え、事業完了後に実績報告を行い、その内容が承認されてはじめて支給されます。また、多くの制度では補助率が設定されており、全額が補助されるわけではありません。
そのため、自己資金がまったくない状態では、せっかく採択されても事業が進められないという事態も起こり得ます。補助金活用を見据えるなら、事前に資金繰りを確認し、必要に応じて融資なども検討しましょう。
DX関連の補助金は、業務の効率化や事業転換、生産性向上といった具体的な目的に対して、数多くの企業で実際に活用されています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なるIT導入や業務のデジタル化にとどまらず、企業のビジネスモデルや価値提供のあり方そのものを見直す取り組みです。こうした変革を推進するうえで、「DX補助金」や「DX関連助成金」は非常に有効な支援策となります。
本記事では、DXに活用できる補助金の最新情報を一覧形式で整理し、それぞれの制度の特徴や選び方、申請時の注意点までを詳しく解説しました。
自社の課題や成長戦略に合った支援制度を見極め、着実なステップでDXを推進することで、将来に向けた競争力を高めていきましょう。