手探りのベトナム進出を支えた「真の伴走」。ポールトゥウィンベトナムとエクストリームベトナムが描く次の未来

手探りのベトナム進出を支えた「真の伴走」。ポールトゥウィンベトナムとエクストリームベトナムが描く次の未来

ポールトゥウィンベトナム株式会社

  • 代表取締役

    松本 公三氏

ゲームデバッグやソフトウェアテスト、ネットサポート、カスタマーサポートなどを展開するポールトゥウィン株式会社。同社はベトナム・ハノイにグループ会社「ポールトゥウィンベトナム」を立ち上げ、オフショア人材を活用した日本向けのビジネスを広く展開しています。

日本国内の深刻な人材不足を背景に、多くの企業が海外展開を模索する一方、現地での拠点設立には数多くの困難が伴うのも事実です。本記事では、ポールトゥウィンベトナム株式会社の松本社長に、ベトナム拠点設立の経緯や、その過程で設立支援パートナーであるエクストリームベトナムとどのように困難を乗り越えてきたのか、詳しくお話を伺いました。

人材確保の次なる一手として選んだベトナム。孤独なスタートを支えた、エクストリームベトナムとの出会い

ポールトゥウィンベトナムの事業について教えてください。

ポールトゥウィンベトナムは、日本でサービスを展開する、ポールトゥウィン株式会社のグループ会社です。 事業内容は親会社と同様で、ソフトウェアテストやカスタマーサポート、Webサイトの運用保守といったサービスを提供しています。

ポールトゥウィンがベトナム進出を決めたきっかけは、日本国内での人材確保が厳しさを増す中、次なる成長の足がかりを模索していたことです。日本以外の選択肢を検討した結果、日本語を話せるベトナム人をベトナム現地で採用し、ポールトゥウィンベトナムを立ち上げるという構想が生まれました。

具体的にはどのような経緯で拠点を立ち上げられたのでしょうか。

私が初めてベトナムを訪れたのは2017年です。当時、別の開発会社の知り合いが新拠点をベトナムに立ち上げるという話を聞き、視察に同行したのが始まりでした。この視察で、現地の人材の優秀さを目の当たりにし、強い衝撃を受けたのです。日本へ戻ってからすぐに、ポールトゥウィンのベトナム進出に向けて動きはじめました。

社内に対してベトナム進出の提案をした当初は、日本のお客様に対する仕事を、日本人ではないベトナムの方々に任せることを懸念する意見もありました。しかし、私は現地で彼らのポテンシャルを見ていましたから、絶対に大丈夫であることを確信していました。最終的には賛同をもらうことができたのですが、そこからがまた大変でした。社内に、共にベトナム進出に向けて深く協力しあえる人がほぼいない状態だったのです。だからこそ、エクストリームベトナムの支援に非常に助けられました。

エクストリームベトナムとの出逢いはどのようなものだったのでしょうか。

先ほどお話しした、2017年の視察のタイミングで、エクストリームベトナム社のスタッフと初めてお会いしました。その時に、とても熱心に、ベトナムという土地と、私たちの事業とベトナムという土地が相性の良いことを説明していただきました。また、ベトナムにいる人材の気質や価値観についても詳しく教えていただき、これが進出を決める決定打のひとつになりました。

また、拠点立ち上げを決めてからは、空港への送迎手配などの現地でのサポートはもちろん、ベトナムで事業をおこなう上での細かな疑問点や懸念について、ご意見を伺う場などを設けていただきました。たとえば、当時抱えていた具体的な懸念点の一つに、人材採用がありました。ポールトゥウィンはシフト制で、現地時間の深夜に稼働する業務も多く存在します。また、日本企業がお客様であるという前提があったため、「現地スタッフに夜勤対応いただくことは可能か」「日本語を話せる人材を獲得できるか」といった疑問を解消しておく必要がありました。私個人としてはベトナム進出を強く心に決めていたものの、不安は常にありましたので、そのようなときに力強い支援をいただいたことは本当にありがたかったです。

スモールスタートから1年で法人化へ。進出成功を支えた土台作りとは

人材採用の観点でエクストリームベトナムはどのような支援ができましたか。

ベトナム拠点立ち上げにあたり、当時、エクストリームベトナムからご提案いただいたのは、ラボ型契約*1でした。 まず、エクストリームベトナムが少数のメンバーを採用して、ポールトゥウィンに人材を派遣するという、スモールスタートの立ち上げ方です。今振り返っても、初期コストやリスクを抑えられる良いスタートを切らせていただいたなと感謝しています。さらに、現地の適正な給与レンジが全く見えない中で、人材選考などの採用実務についてもすべてサポートしていただきました。最初に採用した5人のスタッフは優秀なメンバーばかりで、現在は現場のトップとして活躍している方もいます。

また、物理的な就業環境の整備という面でも支援をいただきました。立ち上げ当初は5人からのスタートでしたので、エクストリームベトナムのオフィスの一角を間借りさせていただいていました。そこから段階的に人数が増えていくにつれて、専用の個室をお借りできるように調整していただきました。

一般的にベトナムのオフィスビルは、夜間に空調が止まってしまうことが多いです。当社は24時間稼働が必要な業務があるため、そうした業務にも問題なく対応できるよう、空調が止まらないオフィスを手配いただいたことも大変ありがたかったです。

ラボ型契約から現地法人を設立するまでに、どのくらいの期間がかかったのでしょうか。

1年くらいだったと思います。ベトナム進出を決めた当初から、いずれは現地法人化したいと考えていました。ラボ型契約でスタートさせてから最初の数ヶ月で「現地のスタッフの能力には全く問題ない、十分にやっていける」と確信できましたので、すぐに法人設立の準備に舵を切りました。

また法人設立フェーズにおいて、私が最も感謝しているのが、就業規則の策定に関するアドバイスです。ベトナムの労働法は日本と異なる独特のルールがあり、就業規則は一度国に申請して決めてしまうと、後から会社都合で変更するのが非常に難しいという特徴があります。つまり、最初にきちんと作っておかないと、後々会社にとって大きなリスクになる可能性があるのです。

エクストリームベトナムは、当時すでにベトナムでの豊富な発注・運営実績をお持ちでした。そのためベトナム固有の労働慣習をふまえ、就業規則に関するアドバイスを提供していただきました。もし当社単独で、ゼロから就業規則を作り上げようとしていたら、事業に最適化した就業規則を作るのは難しかったと思います。会社の一歩目の土台を、信頼できるパートナーと共に構築できたことは、その後の事業拡大において非常に大きなアドバンテージになりました。

ベトナム進出の4大障壁と、その壁を乗り越えた実践的アプローチ

これからベトナム進出を検討しようとする企業にとって、どのような課題があり、どう乗り越えるべきだとお考えですか。

まず第一に、言語についてです。もし日本側の社員やお客様とコミュニケーションが発生する可能性がある場合、ベトナム側に「高いレベルで日本語を話せる人材」が揃っている環境を作ることが極めて重要だと思います。

日本側で、ベトナム語を話せる日本人を見つけるのは至難の業である一方、通訳を介さなければコミュニケーションが成立しないとなると、業務のクオリティとスピードを担保する上で大きな障壁になることがあると考えています。ポールトゥウィンベトナムの場合はその点を強く意識し、日本語で意思疎通ができるスタッフを集めるという方針を貫いています。

法律の面ではいかがでしょうか。

法律面は、正直なところ日本企業が最もやりにくさを感じ、戸惑う部分だと思います。ベトナムは、良くも悪くもルールが日本ほど厳格に運用されていない側面があるからです。 新しい法律がいつの間にか制定されていたり、制定されてもあまり公に周知されていなかったり、形骸化していて普段は厳しく取り締まっていなかったりすることが珍しくありません。

さらに難しいのは、国の担当者や弁護士などの法律家によっても、ルールの解釈が大きく異なることがあることです。基本的に日本では「ルールはルール、1か0か」が決まっているのが当たり前ですから、この曖昧さは日本人の感覚からするとかなり苦労させられました。特に会社の設立や税務、労務といった法律の曖昧さは、リスクが大きいため厄介です。つまり、現地のリアルな商習慣や、法律運用の勘所を熟知しているパートナーに、間に入ってサポートしてもらうことが不可欠だと思います。

採用の面ではいかがでしょうか。

採用に関しても、日本の常識が全く通用しない領域ですね。日本であれば、大手の有料求人媒体に費用を投じて求人を出せば、ある程度人が集まる仕組みが確立されています。

我々が進出した当時は、ベトナムにはそうした求人媒体が浸透していませんでした。そこでSNSを通じた採用活動に力を入れたり、現地のスタッフによるリファラル採用のネットワークを強化したりしました。そうした現地ならではの採用ノウハウも、ベトナムで実績のあるパートナーに助言をいただき進めるのが、最も近道なのではないかと思います。

最後に、営業面ではいかがでしょうか。

営業面に関しては、個人的な意見としては「ベトナム進出を本当に成功させたいのであれば、親会社に受注を依存する体制にはしない方がいい」と考えています。受注を親会社に依存していると、その業績にベトナム側が強く影響を受けることがあります。一方、仮に親会社から発注を絞られたとしても、現地で作業をしていたベトナム人スタッフたちが、すぐに自ら営業へと舵を切り、新規案件を開拓できるかというとそうではありません。現地でどれだけ素晴らしい成果を出していても、思いがけない影響を受けてしまわないよう、ある程度は自力で仕事を取る体制を整えておくべきではないでしょうか。

そもそもなぜ、ベトナムなのか。ベトナム人材の圧倒的なポテンシャルとは

現在のビジネス市場における、「展開先としてのベトナムの魅力」を教えてください。

ベトナムには、これまでも多くの日系企業が拠点を設立していますし、最近またその勢いが増してきていると感じます。 その背景にあるのは、日本国内の圧倒的なIT人材不足です。この課題を解決するための受け皿として、ベトナムが改めて強く注目されているのだと思います。昨今の円安の影響もあり、現地の人件費や物価は以前に比べれば高くなったと言われますが、それでも日本国内でエンジニアを確保するのに比べれば、優秀な人材をはるかにリーズナブルに、かつスピーディーに確保することができます。

またベトナムのエンジニアや優秀な若手層は、英語を非常に流暢に話せる人が多いです。ビジネスや開発におけるコミュニケーションにおいて、英語が通じるというのは世界展開を見据える上でとてつもなく大きなアドバンテージです。

実は私たちポールトゥウィンベトナムのスタッフも、日本語が堪能であるだけでなく、英語も使いこなせるトリリンガルのメンバーがたくさんいます。日本でそれほどの実力を持つ人を採用しようとすれば、採用コストも給与水準も高額になりますし、そもそも市場にほとんど存在していません。 しかし、ベトナムではそうしたポテンシャルを秘めた人材がたくさんいるのです。彼らのような人材が組織にいると、日本企業が海外へ向けてサービスを展開したいと考えた時に、強い武器になるでしょう。日本のお客様からは日本語で要件や要望を直接お聞きし、現地の実際の開発テストやカスタマーサポート業務は英語で世界基準のクオリティで行う、という体制がワンストップで実現できるからです。圧倒的なグローバル人材の層の厚さこそが、ベトナムという国がビジネス展開先として持っている最大の魅力であり、可能性だと思います。

一方で、本音としては「自社で無理にベトナム進出するくらいなら、すでに現地で基盤を持っているエクストリームベトナムのような会社に発注したほうがいいのでは」と思うこともあります。海外進出を成功させるのはそれほど大変なことです。もし、それでも進出を果たすのだとすれば、組織のトップに「何が何でもベトナムで成功させる」という強い思い入れや執着があるかどうかがすべてだと思います。 進出後は、信じられないほどの逆風が何度も吹きます。日本の親会社からの支援や理解にもどうしても限界がありますし、そのような孤独な環境の中で、現地で利益を出し、雇用を守り、事業を継続していくためには、「絶対に諦めない」「この国と仲間を信じる」という強いマインドが不可欠です。

私自身も、「ベトナムの人たちと一緒に仕事がしたい」と心から思えたからこそ、ここまでやってこれたのだと思います。ベトナムの皆さん本当に真面目で優秀ですし、何より成長意欲が凄まじいです。今の日本はどちらかというと現状維持を好む傾向が強いように感じますが、ベトナム人の若者は「キャリアを築きたい」「新しいスキルを身につけたい」という仕事に対するハングリー精神と熱量が、もの凄く高いです。 そうしたエネルギーに溢れた人たちと日々一緒に働いていると、むしろこちらのほうが元気をもらえますし、これこそが、国全体が成長している東南アジアの勢いだと実感します。彼らのような人材と出会い、共に走ってこられたからこそ、数々の逆風も乗り越えられたのだと感じています。

現地に根を張った後、ポールトゥウィンベトナムが描く次の挑戦

エクストリームベトナムとの関わりにおいて、印象的な出来事があれば教えてください。

エクストリームベトナムの方は、一人ひとりが私たちと一緒に悩み、一緒に解決策を考えてくれたこと、そして、要望に対してできる限り応えようと尽力してくれたことが印象的です。その寄り添う姿勢がなければ、私たちはここまで来られなかったと思います。

たとえば、私たちの拠点立ち上げフェーズは、ちょうどコロナ禍と重なった時期がありました。事業を継続するためには、限られた枠組みのなかでなんとか融通を利かせる必要があり、まさにそこでエクストリームベトナムに何度も助けていただきました。もしエクストリームベトナムが、マニュアル通りに「ルールですから無理です」と一刀両断にしていたら、私たちは事業の継続を断念せざるを得なかったでしょう。特殊な状況下で、エクストリームベトナム側にも相応のリスクがある中、私たちの困っている状況を何とかしようと、協力してくれたことを今でも深く感謝しています。

現地に根を張った後も、予期せぬ困難に対してずっと隣で寄り添い、フォローを続けてくれたこと。これこそが一般的なコンサルティング会社とエクストリームベトナムの決定的な違いであり、パートナーとして協業できて良かったと確信している理由です。

ポールトゥウィンベトナム様とエクストリームベトナムの今後の可能性や、今後のビジョンについて教えてください。

ポールトゥウィンベトナムは、立ち上げから2026年6月の間に200人を超える体制になりました。現拠点のあるハノイでは、これをさらに500人規模まで大きくしようと考えています。その後の展開については未定ですが、これからも日本のお客様向けに成長を続けていく予定です。

ただ、ポールトゥウィンの事業領域にはまだまだ余白があります。たとえば私たちがおこなうことができるテストには、テスト設計などの上流工程は含まれていません。もし、開発ノウハウのあるエクストリームベトナムとタッグを組んで、開発や上流のテスト工程から一緒にできることがあれば、あるお客様に対して一気通貫で開発工程を担うといった取り組みも今後考えられるかもしれません。逆にエクストリームベトナム側で、下流工程のテスター人材が必要な際には、その人員を私たちから提供するという形があっても面白いかと思います。

―松本社長、ありがとうございました。

確かな成長を続ける両社が手を取り合うことで、どのような「新しい価値」が生まれるのか。今後の展開に期待が高まります。

 

ポールトゥウィンベトナム株式会社

 

※本インタビューは2026年5月に実施されました。インタビューの内容は取材当時のものになります。

 

*1:準委任契約の一種。プロジェクト専属のチームを編成し、人月単位で契約を締結す

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