新パーパスの先に見据える「1,000億円企業」。 佐藤社長が語る次の成長戦略

創業20周年を迎えた株式会社エクストリームは、新たなパーパスと刷新したミッション・ビジョン・バリューを掲げるとともに、中期経営計画の基本方針を発表した。節目を越えた今、同社は次の成長ステージをどのように描いているのか。

事業再編やM&Aの活用も視野に入れながら、エクストリームは1,000億円企業を見据えた変革に踏み出した。今回のインタビューでは、新たなパーパスに込めた考え方と、その実現に向けた戦略について聞きました。

新パーパス「人とデジタルの力で、未来を切り拓く」に込めた想い

2026年6月の今、あらためて企業のパーパスを制定し、伝えていこうと考えた背景は何でしょうか。

パーパスを今このタイミングで制定すべきだと考えた理由は、会社としての節目と、次のステージへの使命感が生まれたからです。

当社は2025年に創業20周年を迎えました。そして3年前には、IPO時に目標として掲げていた「売上高100億円」を達成することができました。人間に例えるなら、ちょうど成人を迎えて、しっかりとした社会的なポジションや使命が生まれてくるフェーズだと言えます。会社として一定の基盤を築いた今、次に問われるのは「これから何を目指すのか」「どんな存在でありたいのか」だと考えました。そこで、社員、お客様、株主の皆様に向けて、エクストリームの軸をあらためて言葉にする必要があると考え、パーパスの制定に至りました。

「人とデジタルの力で、未来を切り拓く」という言葉に込めた想いはありますか。

一言で言えば、「人が主役であり、デジタルはその力を広げる手段だ」ということです。未来を切り拓くのは、あくまで人の意思と行動だと考えています。

私は会社の主役は人であり、デジタルはあくまでも人が利用するツールだと考えています。デジタルやAIだけで勝手に未来が切り拓かれるわけではありません。どれほど優れたAIが登場しても、「何をしたいのか」「どうありたいのか」を決めるのは人です。AIは選択肢を示してくれるかもしれませんが、その中から何を選び、何を価値へと変えるか決断するのは人間です。だからこそ、人が主役となって未来を切り拓いていく、という意味をこの言葉に込めました。

人類の歴史を振り返ってみても、社会を動かしてきた原動力は、いつの時代も「もっと便利にしたい」「制約から解放したい」「安心やゆとりを生み出したい」といった、人の願いや理想だったと思います。そして、その理想を実現する強力な手段として、現代にはデジタルがあります。この力を正しく、最大限に活かしながら、より良い未来を切り拓いていきたいと考えています。

またエクストリームは、クリエイターやITエンジニアといった人たちがたくさん集まる組織にしていきたいと考えています。私は関西出身なのですが、子どもの頃、冗談ばかり言う子は、親や先生から「将来は芸人やな」と自然と言われる場面がよくありました。そうやって、子どものころから人を笑わせることが好きな人が、芸能事務所を目指すように、「コンピューターが好き」「何かを作って表現したい」「みんながアッと言うことをしてみたい」という人たちが「エクストリームに入りたい!」と、自ら飛び込んできてくれるような存在になりたい、そんな受け皿のような会社を目指しています。

情熱や才能を持った人が集まり、デジタルというツールをうまく駆使して、新しい未来を拓いていく。そんな会社にしていきたいという思いを、このパーパスに込めました。

あえて「会社」という言葉を外した、ミッション・ビジョン・バリューの真意

パーパスに続く、ミッションとビジョンに、どのような意図があるか教えてください。

ミッションとビジョンについては、これまでの企業コンセプトである「真面目に面白いを創る会社、未来の楽しいを造る会社」をベースに、文末の「会社」という言葉をはずしました。組織という枠の中だけに閉じるのではなく、社員やお客様を含め、関わる人たちとともに価値を広げていきたいと考えたからです。

会社という枠の中に閉じこもるのではなく、社員やお客様を含め、関わる人たちとよりよい価値を共につくっていきたい。そうした姿勢を、この言葉の変化から感じ取っていただければと思います。

バリューには変更がないようですが、行動指針は変わらないということでしょうか。

バリューに関しては創業以来変わっていません。「スピード」「クオリティ」「チャレンジ」は、今でも我々の根幹です。「スピード」は、変化の激しい業界で機会を逃さないために欠かせない価値観だと考えています。

次に「クオリティ」は、とにかく妥協をしないでほしいということです。日々の業務の中で「今日は少ししんどいな、これで終わりにしよう」と思う瞬間は誰にでもあると思います。しかし、そこで踏ん張って、昨日よりほんの少しだけ良くしようと意識を向ける。その積み重ねがクオリティの向上に繋がると思います。

そして「チャレンジ」ですが、これには私の好きなエピソードがあります。経営の神様と言われた松下幸之助さんが「わしは失敗したことがない」と仰っていたという話です。なぜかというと、成功するまで諦めずに挑戦し続けたからだと。それは「妥協せずにチャレンジし続ける」ということであり、それを迅速に行う「スピード」が大事です。

何か新しいことを成し遂げようとするとき、絶対に1人ではできません。どんな天才であっても同じです。例えば大谷翔平選手は誰もが認める野球の天才ですが、それを受け止めるチームがなければ、その偉大な力も100%は活きなかったはずです。彼自身が凄まじい努力をしていることはもちろんですが、素晴らしいチームや仲間を巻き込んでいるからこそ、あれだけの成果が生まれたのでは無いでしょうか。社員の皆さんにも、失敗を恐れずに声を上げ行動し、仲間を巻き込みながら、どんどん新しいフィールドへチャレンジしていってほしいです。

1,000億円企業への道筋――事業再編が示す次の成長モデル

中期経営計画の基本方針において描かれた、新体制について教えてください。

今回発表した中期経営計画の基本方針では、冒頭で、「売上高1,000億円の企業を目指す」というゴールを掲げました。「会社を1,000億円規模にする」などと言うと、「そんな大風呂敷を広げて大丈夫か」と思う方もたくさんいるかもしれません。しかし、当社は上場から10年間で、売上高の9倍近くの成長を遂げてきました。現在の私たちの売上規模から1,000億円を目指すとなると、倍率で言えば約8倍です。過去の10年で9倍成長できたのですから、これからの10年で1,000億円に到達することは、決して不可能ではないと思います。

ただし、これまでの延長線上だけで1,000億円のステージに到達するのは難しいとも考えています。そこで見直したのが、事業のあり方です。今まで、当社には「デジタル人材事業」「受託開発事業」「コンテンツプロパティ事業」の3事業がありましたが、「デジタル人材事業」「受託開発事業」を「トータルソリューション事業」へと再編し、さらに「コンテンツプロパティ事業」の領域を拡大します。

「トータルソリューション事業」への再編とは、「デジタル人材事業」と「受託開発事業」が融合されたと考えるとよいでしょうか。

そうですね、言葉としては「統合」より「融合」のほうがしっくりきますね。 「デジタル人材事業」および「受託開発事業」では最終的なアウトプットの形は異なるので、「統合」として完全に一つにまとめてしまうことは難しいと思います。

そのうえで、なぜ「融合」させようとしたか。元を正せば、どちらの事業も根本は社員の技術力であって、ベースは同じなのです。そのため数年前から、「わざわざ二つに分けておく必要はあるのだろうか」という疑問を持ってはいました。営業手法が少し違うだけであるなら、「トータルソリューション」という旗印を掲げ、お客様の課題解決に全員で向き合う体制に融合させたほうが良いでしょう。

これまでの「デジタル人材事業」の売上高は、7期連続で増収しているものの、営業利益率は低下傾向にあります。一方「受託開発事業」は2023年3月期の黒字転換以降、利益率が大幅に上昇し高水準を維持することが出来ています。ただ、売上高は2025年3月期以降は成長が鈍化しています。それぞれの事業の良いところを伸ばし、ウイークポイントを補うことで新しいフィールドに踏み出すことが出来ると考えました。

私たちが本来向き合うべきなのは、お客様の経営課題を解決することだと思っています。たとえば、「御社が今直面している課題はここですよね」と本質的な提案をしたうえで、解決策としてエンジニアの常駐が適切なのか、あるいはコンサルタントも交えた受託開発が適切なのかを考える。そうした営業の視座に上がることで、お客様への提供価値は大きく変わってきます。

今後エクストリームは、お客様の経営課題解決に向けて、営業も技術者も一体となって伴走していく。そうしたビジネスモデルへ変革するために、組織体制を最適化したと考えていただければと思います。

「コンテンツプロパティ事業」では、どのようなビジョンを描いていますか。

一言でいえば、現在の中心であるB2C領域に加えて、B2B領域へも展開をしていきたいと考えています。具体的には、ゲームソフト開発販売やキャラクターライセンスを扱うビジネスモデルから、企業のビジネスを成功に導くソフトウエアを提供する事業へ広げていきたいと考えています。

例えば、iPhoneはまぎれもなくAppleの製品ですが、中を開けると、そこには日本企業が提供した優れたパーツがたくさん詰まっています。それらのブランド名が表舞台に大々的に出ることはなくても、そのパーツは世界中の製品で活躍し、絶対に必要なものとして重宝されています。私は、ソフトウェアの世界において、まさにAppleを支える部品会社のような存在を目指したいと考えているのです。

私たちはこれまで、「デジタル人材事業」や「受託開発事業」を通じて、優れた技術を培ってきました。それらのノウハウを活かして更に投資を行い、当社のプロダクト(パーツ)として成功させる。今後、AIなどの分野が発展していく中でも、基盤となるソフトウェア技術を開発できる会社は、強くなると確信しています。 ハードウェアの世界でエヌビディアやキオクシアが圧倒的な地位を築いたように、私たちもソフトウェアでその領域を狙っていきたいです。

また、「トータルソリューション事業」として経営課題にアプローチするという切り口の延長線上に、BtoB向けソフトウェアプロダクトを提供する、という流れも生まれると考えています。「お客様の課題を解決するために、私たちが持っているこの強力なプロダクトを組み込みましょう。そうすれば、よりスピーディーに、かつ低コストで実現できますよ」と提案し、課題解決が出来るようになるというイメージです。トータルソリューションの中に、私たちの人材や技術力、そしてソフトウェア・プロダクトが組み込まれていくという理想的な形を、新体制によって具現化していければと考えています。

盤石な財政基盤を武器に、M&Aで実現しようとしていること

中期経営計画の基本方針では、M&Aの積極的な活用が言及されていました。具体的にはどのようにM&Aを推進していこうとしているのでしょうか。

当社にとってM&Aは、単に規模の拡大を目指すための手段ではなく、時間を短縮するための経営手段と位置付けています。自前で立ち上げれば数年かかる技術や人材、顧客基盤を、より早く獲得できる。その結果として、既存事業とのシナジーを高めて成長のスピードを上げていきたいと考えています。

そのうえで、私たちがM&Aのターゲットとして見据えているのは、大きく分けて二つのパターンです。一つは、エクストリームと事業の軸足が一致している企業です。同じITエンジニアの人材事業やソフトウェアの受託開発を展開している企業であれば、一体化することでダイレクトに規模やシナジーを拡大できるケースが期待できると思います。もう一つは、私たちの軸足から半歩ずれた企業です。例えば、同じIT領域であっても、自分たちで独自のサービスやプロダクトを創り出したいという強い想いや技術を持っているような会社を想定しています。

私たちがトータルソリューション事業やコンテンツプロパティ事業のB2B展開を進めていく上で、現在の私たちにまだ足りないピースを持っている会社と巡り合うことができれば、爆発的な成長を生む可能性があると思います。

グローバル化、そして「足し算」「掛け算」によって実現する企業の成長

中期経営計画の基本方針で明言されていることの他に、会社や組織のありかたとして、エクストリームをどのような会社にしていきたいかを教えてください。

今後の成長を考えたとき、日本市場だけを前提にしていては限界があります。人口減少という課題もありますが、それ以上に、優れた人材や技術が国境を越えて、新しい価値を生み出す時代になっています。エクストリームも、そうした前提で組織と事業を考えていきたいと思っています。

5年後のエクストリームをイメージすると、社内のリフレッシュスペースや共有エリアでは、さまざまな国の言葉が自然に飛び交っている。そんな光景を思い浮かべています。国籍や拠点を越えて多様な人材が交わり、その違いが新しい価値につながっている。そういう会社にしていきたいです。

具体的な取り組みでいうと、エクストリームは現在、国内外の拠点拡充を進めています。国内拠点として東京、大阪、名古屋に拠点を拡大してきました。また海外においては、すでにベトナムのハノイにエクストリームベトナムを展開しており、今後はベトナムの他にASEAN地域を中心に積極的に進出していきたいです。

拠点を増やすだけでなく、それぞれの拠点間で人々の活発な行き来が生まれることも重要です。さまざまな国籍やカルチャーを持った仲間たちが日常的に交わり、刺激し合うことで、社内のメンバー全員が出身地や国籍に関係なく協力し合えるマインドが醸成される。そうした本当の意味でフラットでグローバルな組織を目指しています。

「事業や社員の成長」として、持っているイメージはありますか。

最近、私は「足し算の成長」と「掛け算の成長」という言葉を使って、イメージを社員に伝えるようにしています。私たちのベースである「トータルソリューション事業」は、基本的にはエンジニアの力による「足し算の成長」が中心のビジネスモデルです。 まず「御社の経営課題は何ですか?」という本質的な問いから入り、その課題を解決するために私たちの技術力を提供していく。そうすることで、これまでの人材派遣事業では「1足す1」だったものが、トータルソリューション事業では「1足す2」になり、「1足す3」になっていく可能性があると考えています。

さらに「掛け算の成長」を生み出せるポテンシャルを持っているのが、私たちの「コンテンツプロパティ事業」です。自社で独自のプロダクトや知的財産、さらに先ほどお話ししたようなB2B向けのプロダクトを持つことができれば、一気に市場が広がり、ビジネスを何倍、何十倍にも爆発させる掛け算の成長になるはずです。

トータルソリューション事業によって進化させる大きな「足し算」と、コンテンツプロパティ事業で狙うダイナミックな「掛け算」。この両輪を回していくことで、1,000億円というゴールへ確実に近づいていけると確信しています。

エクストリームという舞台で、ここから踏み出す新しいフィールド

最後に佐藤社長から、共に歩む社員、これから仲間になる求職者、そして株主の皆様へ、それぞれメッセージをお願いします。

エクストリームは今、まさに新しいフィールドへ踏み出そうとしています。幸い当社は、これまでも着実に、しっかりと成長を続けてきました。

しかし、今回、これまでの「売上高100億円」という視座から、さらにその先にある「1,000億円」という高い目標を掲げることにしました。これからまだ誰も見たことがない違う景色をみんなで見に行きたい。 今の社員の皆さんも、これから入社してくれる皆さんも、ぜひエクストリームという舞台で、私たちと一緒にその新しい景色を見に行く仲間になってほしいです。

そして、株主の皆様には、私たちの将来にどうぞぜひ大きな期待を寄せてください。「エクストリームがまた何か面白いことをやってくれそうだぞ」という、未来へのワクワク感を持って私たちの挑戦に注目し、応援していただけたら、これほど嬉しいことはありません。

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